生物

ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学 (中公新書)

動物の時間はそれぞれ違う。人に流れる時間もそれぞれ違うと思うと気楽になる。・哺乳類の心臓の鼓動は一生に20億回。象であろうとネズミであろうと20億回。息をスーハーする回数は5億回。 ・大きいものはちょっとした環境の変化にものともせず、長生きでき…

生物から見た世界 (岩波文庫)

これは良い本だ。 ・人間の瞬間は18fps 一秒に18回以上の振動は聞き分けられない。単一音に聞こえる。 一秒に18回以上の皮膚をつつくと一様な圧迫として感じる。 映画は一秒に24フレーム変わる。・ミツバチが花の形で蕾か咲いているか判断したり ヤドカリが…

生命世界の非対称性―自然はなぜアンバランスが好きか (中公新書)

世の中全て螺旋であること、非対称であること。これ、地球が回っているからに違いない。 なぜ人間は対称を美しいと感じるのか。単なる思い込みか。 ・アミノ酸には鏡像関係にあるものがある。それの味を比べると違いがある。これを発見したのがパストゥール…

動物の行動から何を学ぶか (1974年) (講談社現代新書)

何のため、誰のためという問いかけは、常に動物の世界を外から把握しようとするもの。ではデザイナーの何のため、誰のためと問いかけはユーザーの外から眺めているんだ。入り込む必要があるということ。メモ ・モーションに見える生理学実験 融合視とか臨海…

マンガを解剖する (ちくま新書)

マンガは好きかぃ。私はそれほどでもない。でも☆5つだ。著者はダヴィンチ好きの養老さんのお弟子さん。恩師は三木成夫さん。メモ・マンガは、息をはく、はくのメディア。リラックスだなぁ。 ・東海大のスポーツ精神学の人も言ってたな。息をはく、息を吸う。…

本能はどこまで本能か―ヒトと動物の行動の起源

途中まで。memo ・本能instinctの語源は、刺激する、促すという意味のinstinguoというラテン語 ・遺伝子は楽譜のようなもの。演奏者がいて初めてなる。しかも演奏者は楽譜を書き換えながら演奏している。 ・本能とは何か 本質とは何か 影響とは何か 原因とは…

生命とは何か―物理的にみた生細胞 (岩波新書 青版)

ここまで客観的に分子生物学、物理学、熱力学、量子力学、遺伝学をつなぎあわされると、素人の読みものとして魅力薄。エピローグの決定論と意思の自由について は面白い。科学哲学だ。memo ・生きている生物体は、ものを食べたり飲んだり呼吸したりして物質…

イメージの世界―未来のプロフィール

師の著書。生理人類学。メモ ・智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。夏目そう石 ・長生きするためのコツ 低カロリーの食事習慣 低い体温を保つ。魚は低い水温で育てると長生きする。 ・キリスト教の…

情報学的転回―IT社会のゆくえ

中沢新一よりもストレートを投げる人。同意する箇所多し。 memo ・90年代は、競争とエゴイズムの追求。競争とエゴイズムの無条件の肯定 ・いまの若者は本当に拝金主義か?大学生の使命感は無くなったのか? ・いまはすたれた身分制社会は、役割社会だった。…

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

読み物としておもしろい。メモ ・もし生命を「自己複製するもの」と定義するなら、ウィルスはまぎれもない生命体。 ・オズワルド・エイブリー DNA=遺伝子だと世界ではじめて気づいた人物。 ・直感とかひらめきとかセレンディピティとかによってもたらされる…

内臓のはたらきと子どものこころ (みんなの保育大学)

小さい子どもがいる人に読んでほしい本。memo ・コップを見て丸いと感じる。これはサルには見られない。子どものころの舐め回しの生命記憶が根強くある。 ・ここからそこまての距離感も、エッチラオッチラ這った運動の生命記憶。すべての感覚と運動が生命記…

胎児の世界―人類の生命記憶 (中公新書 (691))

この人の文体には迫力がある。自ら考えた根幹の部分を発表しているようだ。メモ ・生命記憶 記憶の遺伝 回想 ・音楽を聞くのは左耳、受話器で会話するのは右耳がいい?DJは左耳にヘッドホンしてる。もし右手で書く行為を想定しなかったら受話器は右に持つか…

知の挑戦―科学的知性と文化的知性の統合

著者は究極の科学信奉者、物質主義者。すがすがしいほどの。脳科学と進化生物学が知の統合に大きな役割を果たすと言っている。間違いではないだろうが、芸術や文化が説明できるにはほど遠い。説明できたとしても、それは知識であって体験ではない。だからな…

脳と身体の動的デザイン―運動・知覚の非線形力学と発達 (身体とシステム)

新生児の研究はおもしろそうだ。人間の本質が隠されているようで。memo ・リミットサイクルアトラクタ ある安定した振動を保つ。外乱があって一時的に大きくなったり小さくなったりしても、いづれバランスを保って基に戻る構造。2変数の微分方程式で表せる…

還元主義を超えて―アルプバッハ・シンポジウム′68 (1984年)

ジャン・ピアジェ(発達心理学) ポール・Aワイス(生物学、発生学、分子生態学) アーサー・ケストラー(思想オーアガニスト、ジャーナリスト) の論考がおもしろかった。 ・「サイバネティクス」 コミュニケーションと制御に関する理論。情報伝達とフィー…

バイオポリティクス―人体を管理するとはどういうことか (中公新書)

どこから生命なのか。受精卵とか体外受精とかES細胞とかの問題なのだろうか。地球も活きているという人もいるし、それは人間の自己満足に過ぎないのだろう。たとえそれが法律になったとしても。 メモ ・バイオエシックス=生命倫理 バイオポリティクス=生命…

ネオフィリア―新しもの好きの生態学 (ちくま文庫)

「スーパー・ネイチャー」を書いた動物生態学者ワトソンがブルータス誌に連載した文章をまとめたもの。深くは突っ込んでいないので、読み物としてさらっと読めるが、内容は考えると深い。 メモ ・「ライオンとトラ」 ライオンは生まれつき怠け者。トラは新し…

地球生命圏―ガイアの科学

環境問題の入門書。 最終章9章エピローグが一番面白い。著者の思想がわかる。 メモ ・汚染というのは、よくいうモラル低下の産物ではない。生物の生命活動のなりゆきとして不可避なもの。うまい解決がない場合にのみ、汚染の批判が成り立つ。 ・「トリバス…

偶然と必然―現代生物学の思想的問いかけ

ノーベル賞を受賞した生物学者が語る微視的−巨視的な分野を行き交う哲学的思想。 メモ ・自然のもの人工のもの 違いの定義を規則性、繰り返しとしても その曖昧さは残る。両者の区別は難しい。 ・生物というものが宇宙の全ての体系が示す他の全ての構造と区…

新版 自然界における左と右

自然界の法則を対称、非対称でひもとく本。 非常に面白い。 メモ ・らせん形を含んでいるものは全て非対称である。 ・「子供」 人はインクのシミでできる鏡像や万華鏡を美しいと感じる。そのなかにある秩序を美しいと観る。 中世のエジプト芸術や宗教画も左…

「裸のサル」の幸福論 (新潮新書)

動物行動学者が語る幸福。 狩猟文化と農耕文化、一神教信者と無神論者。 あまりにも平等性を欠く論述。幸福については、様々な論点もあり一概に論述するのは危険だと思います。 著者は客観的事実を書いているつもりなのだろうか。であれば学者失格です。イン…

人はなぜ感じるのか?

生物学的進化の帰結としてのアフェクト・感情・情動を考察した本。 感銘を受けた文章の抜粋。 ・糖分は単純に美味しいと感じる。 しかし、甘さは砂糖分子の性質ではない。それは進化で生じた脳の創発的性質である。ありは甘さを感じているわけではない。 ・…

ゾウがすすり泣くとき―動物たちの豊かな感情世界

多くの動物行動学者は、動物に感情があるということを学術的に論じたくないようだ。動物に感情があることを認めるということは、動物の感情に共感し、さらにその感情が人間のもつ感情と同等のものであることを客観的に論じなければならない。犬がご主人に尻…