生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

読み物としておもしろい。

メモ
・もし生命を「自己複製するもの」と定義するなら、ウィルスはまぎれもない生命体。
・オズワルド・エイブリー DNA=遺伝子だと世界ではじめて気づいた人物。
・直感とかひらめきとかセレンディピティとかによってもたらされるものは、これはこうに違いないと思い込み、研究のバイアスになりかねない。というより、研究の質感、リアリティを大切に。
・クリックとワトソンは演繹的に、きっとそうに違いないとモデルを描いた。ロザリンド・フランクリン帰納的にX線の散乱パターンをこつこつ解析した。
・医者がX線をみるとき、この病ならこういうふうな影が見えるはずだという理論フィルターの眼でみる。これと同じく科学者が数字や図を見る。
・物理法則は平均の秩序の世界。ランダムのなかから秩序が立ち上がるのは、集団のなかである一定の傾向を示す原子の平均的な頻度として立ち上がっている。生命現象も物理法則に従うのであれば、生命も平均的な秩序の産物。
・物理法則にルートn法則というのがある。平方根の法則。例えば、100個の粒子のうち10個程度は平均から外れたふるまいをする。だから、最低被験者は10人は必要だっていうことか。
・ルドルフ・シェーンハイマー 動的平衡。体を形作っている物質すべてが移り変わるように。
・生命の定義2つめは、秩序の美。んー、官能的過ぎはしないか!
・秩序の美。机と一緒かな。整理された机であることと、でも書類がダイナミックに動くということのバランス。平衡状態を保ちながら、でも中身は常に変わっている、みたいなのが生きている机だということ。
・ルドルフ・シェーンハイマー Dynamic State 生命の動的な状態
 福岡伸一 Dynamic Equilibrium 生命の動的平衡
トポロジーとは、ものごとを立体的に考えるセンス。なかなかわかりやすい言い回し。
ドミナント・ネガティブ現象 優位に害作用を与える現象。例えば、タンパク質遺伝子の部分的な欠落や改変が狂牛病を引き起こすとか。
・機械には時間がない。生物には時間がある。