人はなぜ感じるのか?

生物学的進化の帰結としてのアフェクト・感情・情動を考察した本。

感銘を受けた文章の抜粋。
・糖分は単純に美味しいと感じる。 しかし、甘さは砂糖分子の性質ではない。それは進化で生じた脳の創発的性質である。ありは甘さを感じているわけではない。
・意味があるためには意識的な経験が必要であり、それは生物学的な脳が進化で持つに至った創発的性質である。
・感覚は祖先の環境で生物学的生存に有利な出来事にたいする反応として進化した。
・砂糖であれ、美しさであれ、私達の好みの起源を理解し、それらのの繁殖成功度との関係を理解することは、それが良いことか悪いことかとは全く異なる。
・自然の環境のなかで、音と光は必然的に結び付くものではない。両者が異質であったからこそ、光と音に対する受容器は独立に発生し、進化した。両者の連合は脳の都合で結合し、その延長上に言語が成立した。
・私達が行うすべての行為にある普遍的な通貨は、金銭ではない。それは快楽状態である。
・たいていの人は、世界は光や色や音や甘い味や嫌な匂いや醜いものや美しいものにみちあふれていると思っているが、それはまちがいなく、大いなる幻想である。
・私達の生物学的進化を導いてきた生か死かのフィードバックは、快か不快の感覚に置き換えられており、それが学習と理性のかじ取りをしている。
・私達の情熱も幻想も、意味のないものでもなければ勝手に作り出されるものでもない。それこそが、暗闇を照らし、沈黙の存在の空隙に愛や色や意味を与えている。外的世界に意味は存在しない。世界の出来事に対し、心が意味を与えている。