地球生命圏―ガイアの科学


環境問題の入門書。
最終章9章エピローグが一番面白い。著者の思想がわかる。


メモ
・汚染というのは、よくいうモラル低下の産物ではない。生物の生命活動のなりゆきとして不可避なもの。うまい解決がない場合にのみ、汚染の批判が成り立つ。
・「トリバス」 知識は力なり。太陽の恩恵は、5*10〜7メガワット時という算定よりも、毎秒10〜37ワードの情報という贈り物。
・「ガイア」 非平衡を作り出しているのは生物。生物の地球規模全体性がガイア。
・情報は制御システムに不可欠なもの。過ちを正し、ゴールをみうしなわないように、随時情報を蓄え、再生し、比較検討する。サイバネティクスの考え方があてはまる。
・対流圏 北と南の空気は自由に混ざり合わない。赤道付近を堺にして2分されている。赤道を旅すると、南半球のきれいな空と北半球の汚れた空とははっきり透明感が違う。
・生命圏バイオスフィア 対流圏 成層圏 電離圏 外気圏
・海の平均的な塩分は3,4%。人間の体内の塩分は0,8% 。祖先が海に住んでいたころ海の塩分が0,8%であって、平衡していた。
・陸上生命は、重力のせいでほとんど二次元世界で生きている。海洋生物は三次元世界で生きている。人間は眼で二次元世界を見る。クジラは音で三次元世界を見る。
・ルネ・デュポス 地球の世話役としての人間。人間と地球との共生。
・人間の歴史 技術発展期→環境破壊→安定期→新しい生態系との共存 (マクルーハンに似てる)
・われわれの本能のなかに、周囲のほかの生命形態との関係の最善の役割を認知するプログラムがあるのかもしれない。それが正しい行いをしたときに、美しさや豊かさ、快感といった感情を引き起こす。
・あらゆる生命形態との適合性を美に結びつける本能が生存に役立つという仮説を実証することは難しい。
・宗教は環境保護キャンペーンのもつ強力な情動力を取り入れた。キリスト教は、人間が地球の生命の世話役、管理を神から依託されたと説く。