ゾウがすすり泣くとき―動物たちの豊かな感情世界

多くの動物行動学者は、動物に感情があるということを学術的に論じたくないようだ。動物に感情があることを認めるということは、動物の感情に共感し、さらにその感情が人間のもつ感情と同等のものであることを客観的に論じなければならない。犬がご主人に尻尾を振って喜んでいるしぐさや猫が何かにおびえているしぐさは、誰にでも喜んでいる、おびえていると感じられるのだが・・・それは動物の行動に対する擬人化に過ぎないという主張もある。これを擬人化主義者というのだそうだ。
また、学術的には人間がいかにすぐれた生き物かということを論じたほうが受けが良い。そういう傾向があるために少々不公平な学問の偏りがあるらしい。