サイエンス・パラダイムの潮流―複雑系の基底を探る (丸善ライブラリー)

視点が高く、広い。科学全般のパラダイムを見るにはこのくらいの視点の高さが必要なのだろう。



メモ
・「黒崎政男」 神学 → 哲学 → 自由学芸(科学)→ テクノロジー
・「西周」 にしあまね サイエンスを科学、フィロソフィを哲学と造語した人。
・科学の語源はラテン語のSCIO、英語のKNOW。知識とか知という意味。
・世界で初めて工学部が設置されたのは東京大学
・ロゴスとは理。言葉、秩序。バイオロジーやソシオロジーのロジーもロゴスから来ている。
・自然科学的なコスモロジー宇宙論文化人類学的なコスモロジーは人間内の宇宙観、思想。
コスモロジーの変遷 → 地動説革命 → 進化論革命 → 地球環境革命
・「ガリレオ」 宇宙という書物は数学の言葉で書かれている。
・真理は発見されるのではなく、発明される。
 物理学は歴史学である。
 サイエンシーズ個別諸科学からサイエンスを経て統合的はスキエンティア知へ。
・時計仕掛けのオートマン→産業革命に。日本のカラクリ人形→富国強兵に。では人工生命はなにをもたらすか?
・科学はないものを議論しているわけではなく、在るものを議論している。その在るものが自然。創造しているのではなく、読み解き編集するのが科学。
ポアンカレ ケプラー ニュートン →カオス
・円相場や株価の動きはカオス。かなりの研究者がコッソリ研究しているが、予測が成功しているかは表にでない。理由はものすごくうまくいっているか、全くうまくいっていないかのどちらか。
・カオスの応用例。1_fゆらぎ、ツーリンク構造の食器洗い機。
・人間を人間たらしめる情報系は二つ。遺伝子系と神経系。遺伝子系はゲノム、神経系は脳。
・脳が世界を認識し、決定する。脳が入力される情報に重み付けをする。一番大切な重み付けは現実とは何かを決定するもの。情報に重み付けするシステムが嗜好、感情で現実感を形成する。
・高度情報化社会はやがて自然の観念を失い、中国化、インド化する。
・人工身体を対象にする医療行為をcure、自然身体を対象にする行為をcareという。
・カオスや偶然性は、事柄そのものの側に存在しているのか、それとも認識する側の無知に起因するものなのか?
・「スピノザ」 エチカ ものは、我々の認識の欠如以外には、いかなる理由によっても偶然とは言われない。
・「ラプラス」 偶然とは、真の原因を我々が知らない無知の表現。
・「ライプニッツ」 真理には二種類ある。必然の真理と偶然の真理。必然の真理は、分析によって分解し、理由を見い出しうる。偶然の真理は、極めて多様で、個々の理由に分解はかぎりなく細部になる。
・「ハイデカー」 近代は世界像の時代。世界の客観化と人間の主体化。
・科学は実在を論じえない。近代科学は言語を、現代科学はコンピュータを介してしか実在を語れない。