日本という方法―おもかげ・うつろいの文化 (NHKブックス)

日本という方法
11章がおもしろい。編集の方法に興味がわいた。

メモ
・日本の自信、日本らしさはなんにもない。混沌がいいところ。
・日本は方法の国である。そもそも科学頭ではないのかも。一を多に切り替える能力があるし。
・静かな日本、賑やかな日本
 座禅ワビサビ、装飾お祭り
 ブルース、パンクロック
 弥生、縄文
 和事、荒事
 和魂、荒魂
 アマテラス、スサノオ
 引き算の日本、足し算の日本
 渋い日本、派手な日本
 金閣寺銀閣
 黒、金
 侘び、黄金
・仕事文化という発想。オフィスではたらくときの文化、工場で働くときの文化、商売の文化、農耕の文化、狩りの文化。変わらないのは子どもを育てる文化。
・負のエントロピーを食べて非線形的なふるまいをしている生命体の活動の本質がもともと情報編集なのである。
・面影おもかげ おもは主、母とも綴られる。赴く、趣き、おもしろい、思う。は、おもが動こうとするニュアンス。
・うつろい は、移行、変化、変転、転移。そのほかに、うつ は、空、虚、洞とも綴られる。つまりは空っぽ。
朝鮮半島からの外圧が倭を日本にした。日本を自立させた。
・人をヒトと読む訓読は、漢字を日本語読みしたもの。
人をニンと読む音読は、中国語を日本語風に読んだもの。今でいうビアをビール、レディオをラジオと読むのと同じ。すごいミックスの仕方をしたもんだ。
・物語を編集していくうちに、言語がしだいに体系化していった。イタリア語が確立したからダンテがでてきたのではない、その逆。
・日本では書き言葉が無かった時代から語り部が重要視された。文字が普及すると、重用されていた語り部は地方へ分散。語り部の言葉は、文字として記録されるようになる。
・女手なら生まれた平仮名。漢字の訓読を工夫した記号から生まれた片仮名。
・アワセ キソイ ソロエ カサネ が日本の最重要編集方向。
鎌田東二
 神は在るもの、仏は成るもの
 神は来るもの、仏は往くもの
 神は立つもの、仏は座るもの
・サナギ サナギはシャーマンが身に付けた飾り。内側が空洞で音がなる。昆虫の蛹は空っぽのようなものから蝶が誕生する。古代ギリシャで魂を表すプシュケーという言葉は蛹という意味。インドのサンスクリット語でプラーナは風気と訳され、魂の息。
・楠木のような常緑樹が信仰の対象になる理由 常に葉っぱが在る、常に変わらない、常世→何処か遠くにある変わらない国に通じる 。逆にこの世は無常。
一神教的社会は砂漠のジャッジスタイル。ワンマン社長で生き延びる。
 多神教的社会は森林のジャッジスタイル。分散経営で生き延びる。
四書五経 大学、中庸、論語孟子の四書と易経書経詩経礼記、春秋の五経
・二宮金二郎は大学を読んでいる銅像。二宮金二郎は二宮尊徳として小田原藩で活躍。
任侠映画 「義理と人情を秤にかけりゃ、義理が重たい男の世界」
島崎藤村 夜明け前
 内村鑑三 代表的日本人
 新渡戸稲造 武士道
 岡倉天心 茶の本
・「てりむくり」 照り・起くり 中央はなだらかな山、左右に流れた端が少し反る曲線。
・西田哲学 述語的包摂 幼児はブーブー、まんまと発するとき主語をもたない。いつしか私、を持つようになり述語的包摂関係を忘れる。
・西田は晩年、主語と述語、つまりは主観と客観の相互作用を考えていた。相互作用をおこすこと=行為的直感
・持っているのならあげよう。
 持っていないのなら奪うぞ。の世界。
 持っていないならあげる。
 持っているならもういいだろう。の世界ではない。
 このままから、そのままへ。の世界であり、そこに矛盾や葛藤があろうともそれもそのままで、てりむくりにしてしまう世界。
・野口雨情の童謡 赤い靴、青い目のお人形、あの町この町、しゃぼん玉 これらは何かが失われたり、うまくいってない子どものための歌。子どもに無常をつきつける歌。教育ではない、もっと根底のものへの叫び。
サルトルは学生のころ九鬼周造の家庭教師をしていた。
 ベルクソンと九鬼も知人。そこでフランス人がシックという感覚を文化として大事にしていることをしり、粋の構造に繋がった。
・司馬の小説の書き方は、核心を書かず、周りのことを書き、最後に空虚なものを残す。日本という方法を案内するのにふさわしい。
・二項対立ではなく、二項同体という方法が、日本という方法。大切なのはおもかげやうつろいを主題ばかりでうめつくさないこと。