文化としての時間 (1983年)

「文化を超えて」の著者である文化人類学者。コミュニケーション、情報、文化が交錯していておもしろい。


メモ
・我々は時間の節約に熱心。時間は金、進歩。ヒポ族は時間は呼吸のようにリズミカルで自然のなかにある。
・「ポリクロニックな時間」 一度に多くのことをする並列時間が流れる。地中海アラブ型。
 「モノクロニックな時間」 時系列スケジュール的な時間が流れる。アメリカ、北欧型。
 オフィスレイアウトにも影響している。
・モノクロニックな時間は課せられた時間、つまり習得された時間。時間は節約し、使い、失い、工面し、のろのろ進み、潰す、少なくなるもの。
・コンピュータにできないこと。それは翻訳。コンテクストを的確に捉えた翻訳。
・コンテクストの妙。コンピュータや法律、数学は低いコンテクストであるが故に明確な説明が必要。長年つれそった夫婦は高いコンテクストであるが故に言葉を発さない。
・欧米人の時間は、満たされることを待っている空の容器。満たされれば充実感を感じる。
・文化には異質なものを受け入れやすい文化とそうでない文化がある。アメリカ文化は着替え人形のように文化は替えれるという意識がある。だから黒人文化やインディアン文化を変えようとして失敗する。アフリカの部族文化は異質を受け入れない。基層文化が根強い。日本文化は受け入れやすい。これは何故か?歴史か?遺伝子か?
・日本文化は、建前、本音、筋。高いコンテクストで欧米人は理解しにくいらしい。
・日本人は集団への忠誠心が高い。これマズローの考えだと、自己実現に向かう。今は忠誠心薄いか。
・ドイツ人の会社ネットワーク
1*命令系統組織図系 2*専門系統技術者情報系 3*実行力系統経営有力者情報系 これは日本の会社にも、どの組織にも当てはまる。いまのSNSは2*中心。3つを組み合わせたSNSってどうか。
・フランス人は線形。パリから地方へ、上司から部下へ情報は流れる。決定はイエスかノー。
 ドイツ人はチェス。時間は神聖なもの、崩さない。情報はコンテクストが大切にされる。決定はアンダー。
・人間がつくったものは人間の延長物。これはマクルーハンと同じ考え。
・世界で非常なストレスを生んでいるもの、それは人間の体のなかの時計と、壁にある時計との緊張関係。
・ベートーベンは頭のなかの時間と実際の時間が共調して自分の頭のなかで作曲できた。モーツアルトはもっとすごい。自分の音楽を同時に一瞬に経験できた。音楽という線形情報を一瞬で!ほんとか?
・体の外側でなにかをするには、内側でするよりも10倍の時間がかかる。例えばメモを取るあいだにも計画を立て、検討し続けることができる。延長物は頭との複合的な作業の生産性を低下させる。
ピアジェは論理的思考は生得的なものと考えていた。子どもの成長する過程で現れる論理的思考。これは、西洋哲学の基層であって本当は学習されているんだよ。
・集中していると時間が早く進む。画家や科学者。ミハイのフローに似た記述。
・昔の小さなアメリカの書店は、それまでに読んだ本、読んでないが興味ありそうな本について客の情報を持っていた。まさにAmazonだ。
・日本人は欧米人よりリズム、共調を大切にする。あうんとか、相撲の立ち会いとか。
・ウィリアム・コンドン エントレインメントentrainment 二人以上の間のリズムが絡みあっている共調しているときに起こるプロセス。
・他人とエントレインする=他人とリズム的に共調する
 子どもが泣いているほかの子どもを見て泣き出すこと。話をするときにしぐさが同調すること。
 音楽は、個人のなかに最初からあるリズムを高度に特殊化して開放したもの。人間から生まれるリズムの拡大延長版が音楽、ダンス。
・インディアンのしぐさは左右どちらも使う。欧米人は線形的で言葉に頼り、数を志向し、身体の片方を好んで使う。