精神と物質―意識と科学的世界像をめぐる考察

シュレーディンガーの名著。

生命、意識について物理学の立場から一歩踏み込んだ形而上学的な思索をも書かれている。ずっと疑問に思っている思考がほぐされる感覚になる。何度も読んで損はない。

・意識とは生命体の修練を監督する指導者のようなもの。
・意識性は、生命体の学習と結びついており、これが持つ能力は無意識なもの。
・カントの定言「当為」無欲たれという倫理規範を解釈するとー、私達の一般的営みが利己的なものから利他的なものへと生物学的に変異する、その出発点に人類が立っているということ。
・これからの人類の発達― 行動が進化の過程をその重要さの順に組み立てる。
・科学的に見い出される知識を完全なものにするには、感じるということを除去しなければなりません。
デモクリトスの真実 知性と感覚との論争で 知性いわく「表面上は色がある、表面上は甘味がある、表面上はにが味がある、しかし実のところ原子と空虚あるのみ」と。これに対して感覚いわく「おろかな知性よ、われらからお前の論拠を借りてなお、われらに打ちかとうと望むのか。お前の勝利は、お前の敗北」と。
・理論は決して感覚的性質を説明できない。