ホーキング、宇宙を語る―ビッグバンからブラックホールまで

ビックバン・ブラックホールの理論からすべての起源を知るための本。

・宇宙がビックバン、すなわち時間のはじまりを持たねばならないと一般相対性理論は予測しているのか・・・これに対してロジャーペンローズは答えた。一般相対性理論における光円錐のふるまい方と重力が常に引力であるという事実を一緒に用いて、自分自身の重力で崩壊していく星はある領域の中に閉じ込められるが、その領域の表面は最終的には大きさゼロに収縮していくと。表面がゼロになれば、体積もゼロの中に亜種浮くされるので、物質の密度と時空の湾曲率が無限大になる。言い換えれば、ブラックホールと呼ばれる時空の中に特異点が生じるのである。
・宇宙にはなぜこれほど多くの物質があるのか・・・我々の観測できる宇宙の領域には一億×一億×一億×一億×一億×一億×一億×一億×一億×一億の粒子がある。量子論によれば、粒子はエネルギーから粒子/反粒子の形で作りだれれるのだ。要するに、正のエネルギーと負のエネルギーが作られるわけで、物質のエネルギーは正と負でぴったり打ち消しあう。そのために宇宙の全エネルギーはゼロなのだ。
・宇宙はなぜ現に見えているような具合にみえるのか・・・どの宇宙の出発点(初期配置)も、我々の観測する宇宙に似た宇宙になるか。科学法則にしたがって時間を前向きに進化させれば、最初の出発点でであるような状態の宇宙にたどり着く。であれば、この現実の宇宙のはじまりも生じない全く違った出発点があったということになる。すべては単なる幸運でったのか?
・科学理論ができごとの記述に成功するにつれて、神は、宇宙が一組の法則にしたがって進化するのを許し、この法則を破って宇宙に介入することはしないと、大部分の人たちは信じるようになった。しかし、法則は、時間がはじまったときにはどんな具合だったかを教えてくれない・・・時計のぜんまいを巻き、どう動かし始めるかを決めるのは、依然、神の任務かもしれない。宇宙に始まりがあるかぎり、宇宙には創造主がいると想定することができる。だがもし、宇宙がまったく自己完結的であり、境界や縁を持たないとすれば、はじまりも終わりもないことになる。宇宙は単に存在するのである。だとすれば、創造主の出番はどこにあるのか?