HQ論:人間性の脳科学―精神の生物学本論

IQ=知性の包括版としてのHQ(人間性知性)を脳科学を軸にして発想した本。


要点
・HQ(HumanityQuotient)=人間性知性 ≒人間らしさ
人間性の構成要素3つは、
1.将来に向けた展望・夢 未来性志向(future-intending) 
2.高度なワーキングメモリ能力(higher-ordered working memory ability)
3.協調的マインド操作(cooperated mind-operating)
・keyword 前提頭連合野 ワーキングメモリ 短期記憶 長期記憶
・言語の本質的機能はコミュニケーションではない。自分の脳と他者の脳を操作する機能、それが言語の本質である。その操作は、自分の遺伝子を次世代に伝えるためにある。
・コミュニケーションとは、相互のマインドリーディングを中心とした相互の脳間操作である。
・進化的にみて、ヒト脳も本質的で重要な能力は「言語を中心とした能間・脳内操作系の能力」である。
生態学的には、相互が助けあってそれぞれの適応度を高める戦略を互恵的利他主義reciprocalaltruismと呼ぶ。
・男が野球やアメフトに熱狂するのは、脳間・脳内操作系への刺激伝達が進化的に強化されているからだ。
・世界とは脳の動的構築物である。
・HQ理論では前頭連合野の能間・脳内操作系という構造と結び付いた機能としてのHQが人間性を形成する。
・人類最古の紙はパピルスという草の茎からつくられたものでペーパーの語源となっている。そのパピルス古代エジプト時代に書かれた文章に「今時の若い者は・・・」という言葉がある。
・ぞうの時間とネズミの時間 体重が重いほど代謝回転が遅く寿命が長い。
・心拍数15億回で生物は死ぬ。
・寿命に相関があるのは体重と脳重。
ネオテニーとは、幼形成熟のこと。幼い特徴を持ったまま成熟し繁殖すること。犬はオオカミのネオテニー化。
ネオテニー化すると、幼児期に様々な知識や経験を柔軟に吸収し、適応力が増す。
・祖母効果とヒトの寿命が長い理由と育児選択とヒトのネオテニー化の関係
・自分のみならず他人の社会的成功や幸福を実現することがHQの進化的本質である
・日本人は新しもの好き遺伝子を持ったヒトが少ない 幸福遺伝子を持った割合はコーカソイドより多い。
・白人の犯罪は東洋人の40倍 ネオテニー化の現れか。
・共恵戦略と結び付いた社会関係をうまく行う知性の先に、社会を良くする、みなを幸せにするという行為がある。