日本の「哲学」を読み解く―「無」の時代を生きぬくために (ちくま新書)
・九鬼は「いき」を垢抜けして諦め張りのある意気地色っぽさ と定義する。いきは自他を縛るしめった情愛を切捨てた自由なる浮気心である。
・三木清は、制度、つまり道徳や習俗、法律、政治、言語、芸術はフィクションであるという。常に恣意的で自由なものとみなされるものではなく、自然で必然なものとみなされてしまう。本能が遺伝的自然であるとすれば習慣は作られた自然で第二の自然と言える。
・カントによれば、天才とは自然のもつ独創性を受け取って、それを自己の創造の源泉とする者のこと。三木によれば、自然のそのものに創造力というものが備わっており、天才が作り出す形には、何らかの自然の構想力が作り出す形をかたどっていると解釈。ゆえに天才の作り出す形には普遍性が宿る。