脳のなかの幽霊 (角川21世紀叢書)

すごい角度で脳と身近な疑問を結びつけている。面白い。




メモ
・「JBホールデン」世界がくちはてるとすれば、それは驚異がなくなったときではなく、驚異を感じる心がなくなったときだ
チフス患者は焼きたてのパンの匂い。風疹はむしったばかりの鶏の羽の匂い。肝臓病はガラス洗浄剤のようなアンモニア臭。パーキンソン病は特徴的な足を引きずる歩き方。
・場所を探すのではなく、仕組みを知ることが肝要。テレビ番組は、モニターにも電子一個一個にもカメラにもない。テレビ番組の仕組みを理解すること。脳を理解すること。
・「あくび」 卒中を起こした麻痺半身でもあくびのときは腕が上がる。運動をつかさどる大脳返縁系がいかれてるが、大脳基底核が損傷してないから。
・失算症の人は手指失認が多い。数を数えることと指で数を数えることは脳でも近い機能として存在するかも。
ペンフィールドホムンクルス 顔は手指の下に位置する。生殖器は足の横に位置する。
・足に性的喜びを感じるのは脳が感じる分布のせいなのかも。
・ちくびと耳が隣同士だから性感帯になっているのかも。
・脳の神経活動パターンを痛みや快楽、色彩などの意識経験に翻訳する仕組みはまだわかっていない。これを茂木はクオリアが関わっているとする。
・氏か育ちかの論争は幻肢にもある。遺伝子によるもの、環境によるものが複雑にからみあっている。
・我々の体そのものが幻であり、脳が便宜上一時的に構築したものに過ぎない。
・視覚野、脳は記号化、分解して物事を捉えている。
・視覚にも古い経路と新しい経路がある。古い経路は脳幹の上丘にむかい緊急自体をいち早く察知する。新しい経路は視覚皮質に向かいそれから頭頂葉にいって「いかに」を考える。
・側頭葉は個々の対象物の認知と名指しを、頭頂葉は空間的配置の識別を、大脳辺縁系は情動的な行動や情動的な重要性の評価を、前頭葉は判断、展望、計画などの抽象的なプロセスに関与する。
・半側無視は、右の頭頂葉が損傷して左が無視されることが多い。脳は非対称。
・右半球は情動、感情、視覚の全体的観的な面。左半球は、言語、論理、視覚の右側に限定。だから半側無視は右損傷で起こりやすい。
・鏡を見たときに脳のどんなメカニズムが活性化するのかわかっていない。脳は鏡に写ったものが現実とどう違うか、左が右になっていることを素早く修正している。
・右脳を損傷した鏡失認
・知覚と認知の問題 半側無視は知覚の問題、疾病失認は認知の問題。鏡失認も認知の問題。
・左脳は現状をしっかりつかんで離すまいとする。右脳は異常に反応してパラダイムシフトを強行しようとする。
・右脳と左脳の働きを形に例えれば、右脳は○っと状況把握、左脳は△ヒエラルキー構造。
フロイト心理的防衛
 1否認 腕はちゃんと動いています!
 2抑圧 何度も麻痺しているかどうか聞くと認めるがすぐにまた否認する
 3反動形成 左腕は右腕より力も強くよく動かせます!
 4合理化 腕を動かすと痛いので動かさないだけです!
 5ユーモア 左手であなたの鼻を触ると目をついちゃうかも知れませんよ!
 6投影 麻痺した腕は私の兄のです!
・人間はほかの哺乳動物と違って自分が死ぬことを自覚し、死を恐れている。しかし宇宙の研究には、時間を超越した感覚や自分よりも大きなものの一部であるという気持ちを与えてくれる。自分が宇宙という永遠に展開するものの一部であると知れば、死への恐怖から少しは解放される。進化の研究にも言える。
・記憶はエピソードとして蓄えられるが、その時表出した情動も絡みあって記憶されるのかも。なんだか知らないが楽しい感じや親しい感じを受けるときは記憶からではなく情動からよびおこされている。
・権威ある象徴を求める人類普遍の傾向がある。同じ遺伝子を共有する社会集団を安定に保つ役割がある。かも。
・変わったことや稀なことは異常なのではない。天才は稀だが望ましい。虫歯はごく普通にあるが望ましくない。
・側頭葉に神モジュールがあるかもしれない。
・リチャード・グレゴリー 潜在的知能
・笑い、笑顔は個人が社会集団のほかのメンバーにみんな抱いていた緊張はささいなことなので心配いらないと合図するために生まれたのかも。笑った人は警報の間違いを発見した人で、君達の緊張反応はエネルギーの浪費だぜ、心配ないといっている。
・中耳にあるツチ、キヌタ、アブミという骨は今は聞くために使われているが、ツチとキヌタは爬虫類の頃にはものを柔軟に噛むために使われていた。
・笑いという人類普遍のしぐさのなかに、口のなかの犬歯がちらつくという野蛮な過去が残っている。
・21世紀前半、神経学と心身医学(西洋医学東洋医学)を統合する黄金時代がくる!
・ピーター・メダワー 還元主義とは、全体を構成部分の関数として、部分の空間的・時間的な順序づけとそれらの正確な相互作用に関係する関数として表せるという信念である。
クオリアが意識下で変更不能なのは、ためらいを排除して決断に確信を持たせるため。
クオリアの座は側頭葉。側頭葉てんかん者は自己アイデンティティーや意識の変化をきたしたり、幻覚、幻聴をきたす。
・子どもが怪我して血を流しているのをみたとき、卒倒したり貧血を起こしたりする親が多いのではないか。自己を拡大して子どもと同一視した辺縁系が共感を増幅させている。
・私たちが自分を統合したものとして全面に出すのは、社会的な目的を達成するため、他者から理解されるためなのかもしれない。
人間は社会的な動物。自己欺瞞やウソ、他人をだますだけでなく自己をだますことは遺伝子の存続を高める。実証は難しいが。
・左脳で考えて右脳で決断するといいのかもしれない。実際はそんなことできないが現実を理解解釈し多くの方向性を考える。それから2、3日置いておいて直感的に決断する。考え巡らせていたことに光が射すのは寝起きが多いもの。