ジェンダーと科学―プラトン、ベーコンからマクリントックへ

ジェンダーと科学―プラトン、ベーコンからマクリントック

女性科学者が考える科学≒客観≒自律≒男性らしさ の理論。
本当か?と思ってしまうのは、自分が生きてきた文化や概念のせい?
でも、誰にでもあって誰も気づかない真理の上に世界が成り立っている と思った。


メモ
・科学は支配や制御の要。科学は救済である。人間は自然に従わないかぎり自然を意のままにできない。ベーコン
・自分を開くことができないかぎり、芸術は扉を閉ざす。それは自我を確立するための子供のころの労力、一生懸命境界をつくることの逆をやらなければならないから。
・男らしさ、女らしさの起源は幼いころの体験。リアリティの世界に生きる父親、自我に目覚めたときに力になってくれる父親。自我の芽生える前に同一化した存在の母親。主体と対象の境界を曖昧にする母親。これが理性的、客観化のプロセスを男らしさと関連付け、境界を曖昧にするプロセスを女らしさと関連付ける。科学は男らしさの中にある。
・社会は自律の産物である。個人が潜在的にもつ自律への憧れが社会を成立させている。これは人間の成長過程から埋め込まれている本質なのだろう。うちの会社の理念には自律の文字がある。わかりやすい会社である。たとえば、共生をヨシとする社会をつくりたければ、親と子の関係、子の自律過程にメスをいれなければならない。それは難しい話だけれども。
・社会の潜在的意識は、 愛情⇔女性の無能、自律⇔男性の力。
・生のデータなど存在しない。あらゆるデータは解釈を前提としている。それに解釈には共通の言語が必要である。
・観測された規則性を法則に変えたいという願望が科学であり、全てを包括する統一的法則が最終目標となる。法則を組織するパターンの概念が秩序である。ニュートンの法則からプリコジンの自己組織化理論へ。
・法則、秩序、ルールがあることを想定すること、またそれらを記述する言語、情報の蓄積は、私たちの理解力の潜在的可能性に制限を加えてはいないか?
・心理学の理論は時代の社会経済、政治、宗教、文化に影響されてきた。
アインシュタイン われわれが何を見るかは、仮説によって左右される。
量子力学の多世界的解釈 宇宙はいくつもの世界に分裂しており、それは観測できない。自分がどの世界に居るのかも確かではない。シュレディンガーの猫はある世界では生き、ある世界では死んでいる。
・法則の認識より違いの認識のほうが大事。法則、分類は結び付きを断ち切り、距離を作るのに対し、違いの認識は関連性に向かうための出発点となる。違いの認識は新たな関連性を理解する手がかりになる。
マクリントック 科学は予測のためではなく、理解のためにある。操作する力ではなく、もっと別の種類の力を得ることにある。