国家の品格 (新潮新書)

数学者が語る日本人の品格、精神論。


メモ
・核拡散、環境破壊、家庭崩壊、教育崩壊、犯罪テロは、西欧的な論理、近代的合理精神の破談である。
共産主義帝国主義実力主義、競争社会も論理の産物。論理が通るものは広がるが、正しいかは別。
・「トマス・ホッブス」 各人が、自己生存のために何でもする自由 が究極の自由である。しかし、それを認めたら、無秩序の世界になるから、万人はそれを放棄して国家に委託する。これが社会契約論。
・「ジョン・ロック」 個人は快楽を追求してよい、全能の神が社会に調和をもたらしてくれるから。
 「アダム・スミス」 個人は利己的に利潤を追求してよい、神の見えざる手に導かれて社会は繁栄するから。
・「真のエリートの条件」 文学や哲学、歴史、科学、芸術など役に立たない教養がたっぷりあること。 いざとなれば喜んで命を捨てる気概があること。
・平等と惻隠 平等とは差別に対抗する闘争的な言葉。人間は産まれながらにして平等ではない。惻隠とは、弱者、敗者への思いやり。武士道精神の中軸。
・自由と平等は相対立する。この2つが神から与えられたのなら、神は間違っていることになる。自由と自由も対立するし、平等と平等も対立する。平等のもとで競争すると必ず不平等が生まれる。
・日本人の自然に対する感性、俳句に宿るイメージ、懐かしさという情緒、が素晴らしい。
・家族愛、郷土愛、祖国愛、人類愛。これは人間の精神の成長過程と一緒。私はいま何処だろう。
・山本常朝 「葉隠」佐賀鍋島藩武士 武士道とは死ぬことと見つけたり
・弱者を助ける惻隠、桜の美を感じる意識、卑怯をにくむ心。
グローバリズム、総アメリカ化が不調和を生む。失業、自殺、金銭史上主義。
・数学と情緒 学問には、野に咲く一輪のスミレを美しいと感じる心が必要。
・日本人は日本人のように思い、考え、行動して初めて価値を持つ。ガーナ人はガーナ人のように思い、考え、行動して初めて価値を持つ。
・知識や技術は蓄積する。しかし、人の心に宿る人としての賢さ、情緒力は一代限り。
・品格のある国家(ヒト)の指標
 1.独立不羈   誇りと自信を持って行動できるか
 2.高い道徳   ○○主義に捉われない高い道徳心(弱者を助ける惻隠、桜の美を感じる意識、卑怯をにくむ心)があるか
 3.美しい田園  高い道徳心に守られた美しい自然があるか(その自然に服する情緒があるか)
 4.天才の輩出  学問、芸術、文化に秀でているか (小さく言えば、読書をしているか)