自己組織化とは何か―生物の形やリズムが生まれる原理を探る (ブルーバックス)

生命がもつ美しい幾何学的模様に興味があって読んだ本。

まとめメモ
・自己組織化は、カオスとならび複雑系の二本柱のひとつ。
 複雑系----ある系が複数の要素からなり、各要素がそれぞれのルールでふるまう、と同時に、互いに相互作用する。これらの要素の集まりとして系全体のふるまいが決まるが、今度はこれが各要素のルールに相互作用する、といった系のこと。
鴨長明方丈記」ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。淀みみ浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しく留まりたるためしなし。
・リズム----時間変化を生じる最も簡単な式e'=aeといったものを考える。eの増加率e'、e'の増加率ёを含む方程式を微分方程式という。方程式の中にeとe'だけある場合にはeは増えるか減るかだけでリズムは発生しない。これにёが加わるとリズム発生する可能性が出てくる。
・粘菌には、日ごろのリズムが「ずれ」ることで、感じ、考え、行動するというふしがある。リズムが崩れて行動を起こす。
・動物も植物も、リズムを持ちパターンを形成しながら成長する。これは同じ。動物と植物の違いは、動物は成長とともにパターン形成するわけではなく、どこかで止まる(寿命や身体形)。植物は形も寿命も明確ではなく、生きている限り成長する。葉や枝の成長とともに増えていくときのパターン形成は自己組織化に負うところ大。
・例えばヒトの構成要素を細かく分割していってそれぞれを詳細に把握できたとしても、ヒトという生物を理解することはできない。物質は絶えず新陳代謝しても自我は保持されるといった問題は解けない。
・直感アイデアが生まれるとき、ブレストのようなやり方。それは、雑多な考え、知識をまずは用意して、ひらめきを待つ。それは考えの自己組織化である。
・in vivo=生物そのものを使った実験。in vitro=試験管の中で行った実験。in silico=コンピュータ(シリコン回路素子)上の実験。
・極小のマイクロマシンを作るには自分で組みあがる技術=セルフアセンブリが今後必要になってくる。自己組織化や自己修復、自己複製の研究が盛んな理由の一つ。